医療従事者の皆様においては、まだまだ先の見えない中で新型コロナウイルス感染拡大に伴って多くの患者さんと日々向かい合っておられることと思います。ニュースなどでは、病院そのものの経営状況の悪化などが伝えられ、今でも必要なものが十分でなかったり、働けるスタッフの数が限られていたりする中で、自分自身やご家族の方への感染リスクを背負いこれまで以上に多くのストレスを抱えなければならなくなっています。皆様のご尽力には、本当に頭が下がり、感謝に堪えません。
私たちに何ができるだろうか?と考えても考えてもなかなか答えが見つからない中で、これからもありうる突発的な出来事や判断に迷う場面が出てきたときに、少しでもこころの動揺を鎮め、気持ちの余裕が取り戻せるように、そして、なによりもご自身、職場のメンタルヘルスをよい状態に保てるようにするために、ご存じのことも多いかと思いますが改めて今の私たちに入手できることとして、
日本赤十字社:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイドをもとにお伝えしたいと思います。
この後、一部文章を紹介しますが、すべての文章は、各章ごとにリンクにてご覧いただけるようにさせていただきます。 少しでも皆様のお力になれることを願っております。
1.医療従事者の新型コロナウイルス禍におけるメンタルヘルスの現状
医療従事者の働く多くの環境は、とても複雑で単純作業ではありません。知識を使う「頭脳労働」でもあり、体力を使うある種「肉体労働」でもあるところに、更に何よりも目の前の患者さんと向き合う対人サービスの仕事であり感情が大きく影響する「感情労働」の3つの労働をこなさなければならず、仕事環境では、緊張の連続になっています。特に人の生死と向き合うような場面では、不安や緊張状態が強くなります。また、24時間の交代勤務のため自身の睡眠リズムに変調をきたしやすくなります。さらには病院という色々な人間関係(患者、家族、同僚、専門機関)が存在しており、そのかかわる中での対人ストレスも大きなものになります。 そこへ今回のように先の見えない「新型ウイルス」との闘いが加わると、仕事内容なども大きく変化し、環境も大きく変わってきます。その結果、疲労が蓄積され、自律神経がアンバランスになってしまい「不眠」や「イライラ」「集中力の低下」「食欲不振」などにつながってきてしまいます。だからこそ日常的に積極的なストレスの解消が必要になります。
(以下、内容はリンク参照1)
2.セルフケア
ここでは、特に危機的状況下で必要なセルフケアをご紹介します。
(1) 自分自身のストレスとは
今、自分自身のストレスをどれだけわかっているでしょうか?何よりも自分自身の状態を把握することが必要になります。そこで「COVID-19対応者のためのストレスチェックリスト」があります。まず自分自身の状態を把握してみてください。 そして、その結果を踏まえて自分に「できること」「できないこと」「避けること」など整理してみましょう。
COVID-19対応者のためのストレスチェックリスト(参照)
(以下、内容はリンク 参照2)
(2) ストレス反応への対処
ストレスが見えて、反応が分かってきたら次は、対処方法が必要です。自分自身を十分にいたわること(=対処)はもっとも重要なことなのです。以下「おすすめの対処方法」と「避ける対処方法」をぜひ参考にしてください。
(以下、内容はリンク参照3)
3.ラインによるケアとして
困難な状況で働く職員にとっては、周囲の人からサポートを得られるかどうかでその後の精神的健康度は大きく変わります。特にCOVID-19対応者は、周囲の人間からの誤解や偏見などからサポートそのものが得られにくくなる例も報告されています。また、やむなく自宅待機療養していた者への対応も必要になります。よって、これらの当該職員を孤立させないよう配慮が組織的にも必要です。また、個人のセルフケアだけでは限界があります。そこは、上司や管理職などを含めた組織からのサポートが極めて重要になります。
(以下、内容はリンク参照4)
4.最後に
新型コロナウイルス感染に関するメンタルヘルス情報は下記をご参照下さい。
〇日本専門看護師協議会:
新型コロナウイルス感染に関するメンタルヘルスの情報~看護職に起こりやすいストレス反応や対応 Ver.1 ~
〇日本精神保健看護学会:
〇日本赤十字社:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド
〇WHO:
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関係者向け特設ページ
〇緊急時のメンタルヘルスと心理社会的サポート(MHPSS)に関する機関間常設委員会(IASC)リファレンス・グループ:
新型コロナウイルス流行時のこころのケアVersion 1.5
まだまだ、先の見えない状況が続きます。医療現場では、個人にとっても、職場にとっても緊張を強いられる状況にあります。今回は、新型コロナウイルスに対応する医療従事者の皆様へ向けたメンタルヘルス対策として日本赤十字社から出ている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応する職員のためのサポートガイド」をもとにまとめてみました。 この内容が少しでも皆様のお役に立つことができれば幸いです。
産業カウンセラー
大槻 久美子