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●カウンセラーのつぶやき● ~本当の気遣いとは~

 

満開の桜でほんのりピンクに色づいた景色もあっという間に通り過ぎ、暖かいというよりは、暑いと言った日々が続いています。最近では、気温差が10℃を超える日もあり、また、花粉や黄砂などアレルギー源になるものの飛散も多く体調管理の大切さが必要になってきていますね。

さて、4月になると新入職員の方も入ってきて益々若い人達との関係性も複雑になってきています。
そんな中、4月入所の人がもう、退所を考えてるという事態が発生しています。一つには、就職がゴールになっていたためということがあります。例えばAさんは「大学を卒業したら、働くのが当たり前であり、そのためには、就職しなければならない」と就職活動を行い、そこで、本来なら「社会の現実を知る」ことになりますが、最近では採用側がパワハラ面接にならないようにと注意を払うことにより準備万端で挑んだ面接もテキスト通りに進み特に何の問題もなく就職活動を終了し、大学を卒業して社会人となりました。そして期待と不安を胸に新社会人として入所式を終えたとたん、なんだか体が重く感じて動かなくなってきました。それでもなんとか出所しますが、どうにも気持ちがスッキリしません。そんな日が続き5月になるのを目の前に「5月病になりました」と相談にきました。
また、新入職員に対して、職場のメンタルヘルスの研修後、Bさんから「僕は、学生の頃から不安障害と心身症の診断を受けています。すでに今後のことを考えると不安が募り眠れなくなっています。」と研修感想シートに記載がありました。話を伺うとAさんと同様に「5月病です」と言うのです。
何か釈然としない感覚を覚えながら話を聴き続けると、最終的には、2人とも「目標が見えない」ということが分かってきました。先輩にあたる皆さんならどのような返答をご用意されますか?私は、この2人に「まずは、目の前のこと、今なら新入社員研修をしっかりとやり遂げましょう」と伝えました。この2人には、まだまだこれから新入職員研修が待っています。その中でこれからの職場のシステムややり方、考え方などが伝えられるはずです。まだ、入所して数日しか経過していない新人に大きな責任のある仕事など渡せないのは、当たり前です。しかしながら、本人達は、「仕事=責任」が先に立ち、それができると思われたので就職試験にパスしたと感じていたようです。そのため、具体的な仕事が与えられずに周囲の先輩などが優しく声をかけたり、気を遣ってくれたりするのが日々、通常の状況と判断し不安を感じていたようです。実は、この現象は、裏を返せば、自分達が他人に気を遣ったことが少ないために起きる現象です。社会性の乏しさから出てくるものだと感じました。コロナ禍で他人とのコミュニケーションの形が変化しているからこそ起こってしまうことかもしれません。事実、これまでのAさん、Bさんとは別の職場になりますが、新入社員歓迎会でお酒を飲まされて潰れてしまった同僚職員を駅に置き去りにして帰り、次の日、その酔いつぶれたその職員は、退職支援サービスを使って退職届けを提出したという事態もあります。酔いつぶれるまで飲んでしまう側にも節度を持つ必要はありますが、そこまで飲んでしまう様子を気にかけなった周囲の先輩や、同僚にももう少し周囲に気遣いができるようになってほしかったというのが本音です。
このようなことで大切な人材を手放すのは、新入職員にとっても、職場側にとってもどちらにとってもいいことではありません。まずは、お互いを大切にできる「気遣い」を学びの目標にしていただきたく思いました。

さて、今回でこのひまわり通信も記念すべき100号になりました。 多くの方々に登録いただき配信できる喜びを感じております。
ありがとうございます。 また、今後ともよろしくお願いいたします。

公認心理師・産業カウンセラー
    大槻 久美子

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