メンタルヘルス対策Q&A

メンタルヘルス対策Q&A

q 職場における「ストレス」について教えてください。
a 職場の人間関係、上司や部下の目、重圧や責任、仕事の質や量、昇進昇級、会社の将来性、仕事の適性、定年後や老後の不安など。
q ストレスによる疾患にはどのようなものがありますか?
a うつ病、躁うつ病、統合失調症、パニック障害、身体表現性障害、適応障害、自律神経失調症、胃・十二指腸潰瘍、喘息、過敏性大腸症候群、高血圧、円形脱毛症、偏頭痛、拒食症など。
q どうすればストレスを解消する事ができますか?
a 生活習慣の改善と規則正しい生活。運動をする。夢中になれる趣味を持つ。相談相手を持つ。
リフレッシュする。ネガティブな考えをポジティブに変化していく。
q 精神疾患の前兆には、どのようなものがありますか?
a

【身体】不眠など睡眠障害、肩こり、頭痛、湿疹、倦怠感、体の怠さや重さ、手足のしびれなど。
【行動】過食や拒食、飲酒、喫煙、多弁や無口、怒りっぽい、暴力、衝動買い、不純異性行為など。
【心】不安、自己嫌悪、自信のなさ、判断力低下、焦燥感、憎悪、羨み、ネガティブ思考など。

q セルフストレスチェックで「要注意」の判定結果がでました。どうすればいいですか?
a できるだけ早い段階で産業医や専門家に相談してください。ただ、ストレスチェックの結果は、一つの目安であり、絶対的なものではありませんがその結果をストレスの対処に活用することが重要です。ストレスは誰にでもあるものであり、ほとんどの場合、ストレスには自分で対応しています。ストレスをできるだけ上手に自分でコントロールする方法を学ぶことも必要です
q 主治医より「休職が必要」と言われました。どうすればいいでしょう?
a 仕事の心配はあるかもしれませんが仕事をしばらく休むことが必要です。
休養を図ることにより病状の回復が望めます。病状が悪化すると業務遂行力も低下するため、仕事に影響がでたり、また仕事をし続けることによりなかなか回復しない可能性もあります。そのため、早期に職場の上司に相談をして仕事を休ませてもらうことが望ましいでしょう。また、仕事を休む際には、職場の休暇の制度や経済的な保障の制度などについても確認をすることも必要です。
q 職場での健康管理のチェックポイントを教えてください。
a  働きすぎが問題になる中、まずは、長時間労働のチェックが必要になるでしょう。残業45時間以上で「過労死危険ライン」、残業80時間以上で「過労死ライン」といわれています。

また、職場内の安全配慮義務とは、

  • 部下の実際の労働時間の把握する
  • 健康状況を積極的に把握する
  • 必要に応じて業務軽減の措置を講ずる

こととなっています。

q 「精神的に具合が悪いのでは?」と気になる人に、どのように声を掛けたらいいでしょうか? 注意点などありますか?
a 「あいさつ」や「眠れてるか?」などの声掛けをしてください。ただ、人間だれにでも悩みはあります。2~3日しても表情が優れず具合が悪そうなときには、声をかけてみてください。また、話を聴く際には、批判や評価をせずただ、ただ話に耳を傾けてください。そして、必要であれば「心が疲れているようなので」と専門家や産業医へ受診することを勧めてみてください。
q 職場で休職者が出ました。どのような対策が必要でしょうか?
a 休職者個人の問題として取り扱うのではなく、職場全体の問題として取り扱うようにしてください。そして、職場復帰に向けての準備を実施していきます。まず は、職場復帰プランや職場復帰プログラムなどの進め方を確認してください。そして、休職する人に対しては、休職の期間や休職中の収入、また、規則などの確 認を実施するようにしてください。
q 管理監督者として、どのようなメンタルヘルス対策をとればいいでしょうか?
a

①実態調査の実施をし職場の現状を把握する
②メンタル不全予防のための研修
③教育の機会をつくる
④健康診断の受診率を上げたり相談窓口の設置
⑤職場復帰支援に向けたシステムつくりや専門家などの協力体制の整備

をすすめてください。

q 厚生労働省が出している、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」の概要を教えてください。
a

1. 趣旨
指針は、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき、同法第69条第 1項の措置の適切かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置(以下 「メンタルヘルスケア」という。)が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めるものである。
事業者は、本指針に基づき、各事業場の実態に即した形で、メンタルヘルスケアの実施に積極的に取り組むことが望ましい。

2. メンタルヘルスケアの基本的考え方
事 業者は、事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進するため、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定するととも に、その実施に当たっては、関係者に対する教育研修・情報提供を行い、「4つのケア」を効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、 職場復帰のための支援が円滑に行われるようにする必要がある。
また、事業者は、心の健康問題の特性、個人の健康情報の保護への配慮、人事労務管理との関係、家庭・個人生活等の職場以外の問題等との関係に留意する必要がある。

3. 衛生委員会等における調査審議
メ ンタルヘルスケアの推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うことが必要である。「心の健康づくり計画」の策定は もとより、その実施体制の整備等の具体的な実施方策や個人情報の保護に関する規程等の策定等に当たっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うこと。

4. 心の健康づくり計画
事業者は、メンタルヘルスケアに関する事業場の現状とその問題点を明確にするとともに、それぞれの事業場の実態と必要性に応じて、その問題点を解決する具体的な取組事項等についての基本的な計画(「心の健康づくり計画」)を策定すること。

5. 4つのメンタルヘルスケアの推進
メンタルヘルスケアは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要である。
なお、事業者は、メンタルヘルスケア推進の実務を担当する事業場内メンタルヘルス推進担当者を選任するよう努めるものとする。

6. メンタルヘルスケアの具体的進め方
(1)メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供
事業者は、4つのケアが適切に実施されるよう、それぞれの職務に応じ、メンタルヘルスケアの推進に関する教育研修・情報提供を行うものとする。
なお、労働者や管理監督者等に対する教育研修を円滑に実施するため、事業場内に教育研修担当者を計画的に育成することも有効である。

(2)職場環境等の把握と改善
事業者は、職場環境等の改善に積極的に取り組むとともに、管理監督者等や事業場内産業保健スタッフ等に対し、職場環境等の把握と改善の活動を行いやすい環境を整備するなどの支援を行うものとする。

(3)メンタルヘルス不調への気づきと対応
事 業者は、個人情報の保護に十分留意しつつ、労働者、管理監督者等、家族等からの相談に対して適切に対応できる体制を整備するものとする。さらに、相談等に より把握した情報を基に、労働者に対して必要な配慮を行うこと、必要に応じて産業医や事業場外の医療機関につないでいくことができるネットワークを整備す るよう努めるものとする。

(4)職場復帰における支援
メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、事業者は、その労働者に対する支援を適切に行うものとする。

7. メンタルヘルスに関する個人情報の保護への配慮
メンタルヘルスケアを進めるに当たっては、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に配慮することが極めて重要である。
事業者は、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に関し、個人情報の保護に関する法律及び関連する指針等を遵守し、労働者の健康情報の適正な取扱いを図るものとする。

8. 小規模事業場におけるメンタルヘルスケアの取組みの留意事項
小規模事業場においては、事業者は、セルフケア、ラインによるケアを中心として、実施可能なところから着実に取組みを進めるとともに、地域産業保健センター等の事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用することが望ましい。

q EAP(従業員支援プログラム)って何ですか?
a

Employee Assistance Programの略。メンタル面から社員を支援するプログラムのこと。職場の複雑な人間関係などによるメンタル不全の予防のために企業や職場が外部機関と契約して社員の心の健康をサポートするシステムのこと。

q 「事業場外資源」って何ですか? 活用方法は?
a

医療機関と相談機関がこれにあたります。医療機関においては、現在明確な名前による区分はありませんが、ここで少しよく使われている区分けをしてみ ます。「神経内科」は、主に脳血管障害や認知症を扱うところが多く、また、「神経科」は、うつ病やアルコール中毒、統合失調症などを扱います。また、胃炎 や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの心身症については、「心療内科」が多く扱っています。

ただ、最近では、「神経科」や「診療内科」だと受診しにくいということから、受診しやすいようにと「クリニック」と名乗っている診療施設も多いことから、どの診療施設が何の疾患に強いか、診察可能時間など調査しておく必要があります。
このように医療機においては、医学的見地から罹患の有無の診断やそれに伴う診断書の発行、罹患の際に服用しなければならないお薬の処方や精神治療が行われます。

次に、相談機関ですが、こちらは、民間事業が大半を占めており現在、国家資格というものは、存在しません。臨床心理士や産業カウンセラーなども民間の協会発 行資格となっています。相談機関においては、主にカウンセリングによる心理療法といったことが行われています。心理療法とは、精神疾患の治療や心の悩みの 解決、あるいは精神的に健康な体を作るということを目的として行われる理論・技法をいいます。
また、相談機関には、民間事業ではなく公的機関も多くあります。

例えば、各都道府県にある、産業保健推進センターや精神福祉センター、保健所をはじめ、独立行政法人が担っている中央労働災害防止協会などがあります。これらの機関においては、相談や研修、教育を行ってもらうことが可能です。中には、無料で研修や相談を実施してもらえる機関もあります。ですが、研修は、一つ の職場で1年に一回しか使えないというケースや、相談では、カウンセラーが毎回変更になってしまうということもあるようですのでこれらの機関を使う際には、目的により注意が必要かと思われます。

q カウンセリングでは、どのような事をするのですか?
a 基本的に指示や示唆は、一切行いません。働く人の問題は、働く人の取り巻く社会環境のあり方とが関連していると捉えて働き方への援助を行います。その中で、その方自身がどうありたいのか?ということを一緒に探していきます。ただ、状況によっては、教育的なカウンセリングを実施するケースもあります。
q 職場でわかる うつ病かもしれないサインはどんなこと?
a

勤怠面

  • 遅刻、早退、欠勤が増える
  • 休みの連絡がない

業務面

  • 事故やミスが多くなる
  • 業務の効率が低下している
  • 残業、休日出勤が増える
  • 対人トラブルや顧客トラブルがおこる

生活面

  • 元気がない、顔色が悪い、笑顔がなくなる、挨拶がなくなる
  • 報告、相談、会話がなくなる
  • 服装が乱れる、化粧や髪型に無頓着になる
  • 飲酒の頻度や量が増える

メンタルヘルス対策のベースライン

メンタルヘルス対策のベースライン

  • 現在健康で働いている人達を病気にさせない
  • ストレスが多い労働者を病気にさせない
  • 病気を持っている労働者を悪化させない
  • 職場復帰の支援

メンタルヘルス対策の4つのケア

事業者は、次の4つのケアの推進
  • 労働者自信のセルフケア
  • 管理監督者によるラインによるケア
  • 事業場内の健康管理担当者による事業場内産業保健スタッフによるケア
  • 事業場外の専門家による事業場外資源によるケア
その円滑な推進のため、以下の取り組みを行うこと
  • 管理監督者や労働者への教育研修・情報提供
  • 職場環境の把握と改善
  • メンタルヘルス不調への気づきと対応
  • 労働者が自発的に相談できる体制づくり
  • 職場復帰支援

メンタルヘルス対策における4つの意義

  • 労働安全衛生法に定められた事業者の努力義務
  • 事業者による安全配慮義務
  • 従業員が職業生涯を通じて健康でいきいきと働ける状態の維持
  • リスクマネジメントとしての認識

メンタルヘルス対策の国の流れ

1972年 「労働安全衛生法」制定
1999年 「精神障害の業務上外判断指針」公示
2000年 「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」公示
2004年 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰の手引き」公示
2006年

「労働安全衛生法」改正
「労働者の心の健康の保持増進のための指針」公示(新メンタルヘルス指針)

2009年 「精神障害の業務上外判断指針」改正
「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰の手引き」改定
2011年 「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」策定
2012年 「パワーハラスメントの定義」発表
労働安全衛生法」改正  (審議中)

 参考資料(PDFファイル)

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