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■事例検討集■~若手職員との関係に悩む上司必見!若手職員との接し方《事例結果》~

 

これまで「若手職員との関係に悩む上司必見!若手職員との接し方」としてシリーズでお答えさせていただきました。
今回は、先日から事例としている相談内容の結果を「事例結果」としてお伝えさせていただきます。

<事例>
相談:相談者 係長Aさん(女性 38歳)
Aさんは、係長として4名の部下と一緒に仕事をしています。その中のBさん(女性 24歳)は、昨年新入社員として
入所しました。入所当初は、Aさんは、Bさんを一生懸命に勉強して積極的で、分からないことがあれば自分から質問
をしてくれる「いい子が来てくれた」と感じながら見守っていました。
しかし、1年を過ぎたころから微妙に周囲との関係にズレが出てきているように見えたのです。そうしているとBさん
の先輩Cさん(女性 26歳)から「Bさんと一緒に仕事をするのが疲れる」と言った相談が舞い込んできたのです。
Cさんの話をよく聴いてみると「一生懸命に質問してくれるので、最初はよかったのですが、最近では、Bさんの思い
が強く出てくるようになり、その割に具体的な仕事内容については、自分で考えることをしてくれないのです。」と
いうのです。そこで、少しAさんは、自分でBさんの仕事のやり方を確かめるためにCさんから担当を変えて自分が担当
になりました。すると、Cさんが話していた内容が具体的に見えてきたのです。一生懸命にしている部分は、いいので
すが、組織の話や役割の話など大きな組織論的なことに関して、かなりの思いが溢れでてきます。しかしながら今やら
ないといけない業務をお願いすると「何をしたらいいですか?」とやり方を全部伝えるまで指示待ちになるのです。
また、指示がないと何もせず、「指示の仕方が悪い」や「本来の上司業務をやっていない」、「トップダウンの組織を
作らないとこの際この職場はやっていけない」、「組織改革しなくては何もできない」など話が延々続くのです。
「どう対応すればいいのか?」との相談です。

<事例結果>
相談いただいたAさん(係長)とBさん(新入社員)別々に「今後どのように進めていくか?」
を数回重ねて話し合いながら考えてきました。そして、具体的に実施した内容ご紹介します。

Aさんに対しては・・・
1つ目は、まず、Bさんが何を求めているのかを理解するための傾聴力強化
2つ目は、Aさんが今のBさんに何を求めるかの明確化

Bさんに対しては・・・
1つ目は、Bさん自身の考えの整理(発散)
2つ目は、Bさんのこれまで実施してきたことの棚卸し(振り返り)

とそれぞれにやっていただくことを決めて実施しました。

Bさんには、上司との面談の前に「自分の言いたいこと」の整理をしてもらいました。
Aさんは、Bさんの話を頭ごなしに「否定もせず、肯定もせず聴く」ことでAさんが何を言いたいのか?を理解してもらう
ことにしました。

するとAさんは、相手のことを「面倒だ」と思う気持ちと自分の「思い込み」があったことに気づきました。
また、Bさんは、自分の思いを整理する中で「分からないことがある自分」に納得ができておらず、「組織を変えたい」
など思っていませんでした。同時に学生時代などにやってきたことの「棚卸し」を行い「自分の強み」を改めて探しました。
そうする中で実は、上司にわかって欲しいのは、「分からないことがあっても見捨てないでほしい」ということだったのです。
その素直な気持ちを伝えられるように整理を行い「冷静に」「落ち着いて」話を行うように心がけました。

一通り話しを聞いたAさんから、Bさんへ今、実際にやってほしい業務とAさんが求める結果を伝えました。
そしてそれを聞いたBさんは、自分の棚卸しした内容と合わせながら、自分の「できること」と「できないこと」を考え、
「できること」から優先順位をつけて実施することになりました。そして、「できないこと」は、「学ぶこと」へ変換し実施
することになりました。

今回の場合は、お互いの気持ちの整理に少し時間を要しましたがその中で、以前から「自己肯定感が少ない」と言われてきた
若者ですが、最近では「自己肯定感は高いが、新しいことが苦手」という傾向が強くなってきているために、「ミス」や「失敗」
を恐れ、なんとか「ミス」や「失敗」にならないように前もって予防処置をしようとした結果、本やネットで得た情報に頼り
理想論に走ってしまったということが分かりました。ただ、このような傾向もずっと続くわけではありません。
また、時代の流れで人の考えも変化してきます。上司は、まず相手のことを「否定せず、肯定もせず耳を傾ける」意識が必要
かもしれません。そして、何よりも業務を伝える際には、「実際にやって欲しい業務と結果の明確化」が必要になります。
その方法は・・・実際にやって欲しい業務を明確に洗い出します。そして、上司の求める『結果』も同時に明確にすることです。
そして、その業務に対する実施所要時間を明確化し「達成度」を可視化していきます。
なかなか「ものづくり」の現場でないところでは、「達成度」が見えづらい状況にあります。その場合は「時間」を達成度の
目安にすると分かりやすくなります。また、時間の見積もりは上司の考える時間となります。なぜなら評価する人の時間が必要
だからです。ただし、その時間はその業務にかかっていた「正味」の時間とし、一般的職員として実施して欲しい所要時間を意味
します。

例えば・・・
実施業務・・・稟議書作成 先輩が雛形を作成せず自分の力で最後まで作成し提出完了する。
作成所要時間・・・2時間(トータル所要時間)

少し面倒なようにも思いますが、実はこのような「明確化」は上司自身にも必要なことなのです。
なぜならこの一つひとつの業務が、職場全体の業務に繋がってくるからです。

ぜひ「思い込み」や「見えない要求」ではなく、できる限りの「見える化」を実施し、更に「見える化の共有」
を行っていきましょう。

今年一年お読みいただきありがとうございました。

次にお会いするときには新しい年が始まります。そして、まだまだ社会も大きな変化をしていくでしょう。
時代の波に押しつぶされないように必要なことを分かりやすく発信できるように心がけていきたいと思っています。

また、来年も宜しくお願いいたします。

産業カウンセラー 大槻久美子

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