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●カウンセラーのつぶやき● ~マチュリティ・レベルに合わせた指導~

新型コロナウイルス感染症の位置づけは、これまで「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」としていましたが、令和5年5月8日から「5類感染症」になりました。「5類感染症」に移行することで、色々なメリットやデメリットが考えられる中、医療・福祉機関では、まだまだ落ち着いたとはいかないかもしれません。そんな職場環境の中で新しいメンバーが増え、人間関係や職場環境にも変化が表れてきます。

そこで、よくこの時期に相談を受けるのが新入職員への指導方法です。
前回は、マチュリティ・レベル(成熟度合い)という概念を基準に相手の成熟度を正しく把握できるように「5段階」のレベルをご紹介しました。今月は、そのレベルに応じた指導方法をお伝えしたいと思います。

特に最近、上司世代からの相談で「Z世代の指導はどうしたらいいのか?」との相談を良く耳にします。
そもそも、Z世代と言われる最近の若者(新入職員)の特徴としては、ネットリテラシーの高さや、価値観の多様化等、長所・短所の両面があると言われています。例えば、日常的には、何の問題もなく対応しているのに、あるところでは、大人としてわきまえるべき基本や、社会生活を営む上で求められるものが実践できなかったりというアンバランスな一面があるために上司や先輩をイライラさせてしまうことがあったりします。そのアンバランスな状況に陥ってしまうのは、上司世代が思う「当たり前(常識)」が身についていないということがあります。ただ、この理由として、これまで学校や家庭で実践的に教えてもらえなかったという事情が多分にあります。
「なんでこんなことが?」と思うのですが・・・。

新入職員に「知らないこと、理解していないこと」をきちんと教えつつ、個々の長所を伸ばしてマチュリティ・レベルを上げるそのような指導を上司、先輩、指導員の方には実践していただきたいと思います。 そこで、前回のマイノリティ・レベルに合った指導方法をお伝えします。

①初期:仕事をこなす能力・意欲両面に問題がある→「教示的指導」
・5W1H(2H)を念頭において、こと細かに教える
・やらなければどうなるかを教える
・担当業務は、許容範囲を考慮して与え過ぎない
・進歩が少しでも見えたら、大いにほめる

②管理が必要:目標・プランがきちんと立てられない→「説得的指導」
・「なぜ」を説明し、疑問点を質問するよう促す
・仕事の進め方を一緒に考える
・成果につながる仕事の進め方(How)を教える
・少しでも改善・向上が図られたら、大いに励ます

③定義が必要:指示されたことはできるが、自分で考え、行動することには問題がある→「相談的指導」
・積極的に相談にのる
・双方向のコミュニケーションを重視する
・先を読んで次のステップを決めるような習慣をつけさせる
・意思決定を一緒に行う

④定量的に管理が必要:与えられた仕事の達成方法や手段を、自分で考えることができる→「参画的指導」
・相手の自立(自律)を奨励する
・意思決定や仕事の進め方を任せ、意欲を高める
・何でも相談にのれるような雰囲気をつくっておく
・仕事の実情を十分に把握しておく

⑤最適化している:意欲も能力も高く、一人で仕事ができる→「委譲的指導」
・できるだけ任せ、見守る
・相手主導のコミュニケーションを奨励する
・ゆるやかに監督する
・大きな夢や目標を持たせる

このように、個々のマチュリティ・レベル(成熟度合い)に応じた指導のポイントを具体的に見てきました。
全体的な指導のポイントは、相手の成長(成熟度)に合わせて、寄り添い、一緒に考える指導がこれからの若者(Z世代)に必要になってくるように思います。これまでの「与える指導(ティーチングスタイル)」から「引き出す指導(コーチングスタイル)」へ上司や先輩側も指導スタイルの変化を受け入れ、若者とともに指導する側も指導を通して自身の学びへとつなげていくことが必要なのかもしれません。

公認心理師・産業カウンセラー
    大槻 久美子

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