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●カウンセラーのつぶやき● ~職場が分かれる~

 

8月、9月とコロナ感染症も落ち着いていたように思われましたが、ここにきてまた、急激に感染者数が増え始め「コロナ感染症第3波到来か!」と言われるようになってきました。そうなると病院や医療機関で働いているエッセンシャルワーカーと言われる人達には、また大きなストレス要因がやってくることになります。
前回「コロハラ」について少し触れましたが、最近職場内でのコロハラが職場を分断するようなことが起きているとの記事を目にすることも多くなってきました。これまでは、職場外のプライベートな環境であったり、生活空間での差別的な発言など取り上げていましたが、新型コロナウイルスの患者を受け入れる職場内において、一般の病気の患者を診療する「非コロナ部門」とコロナウイルスに対応する「コロナ部門」という形で分かれてしまうことが起こっているようです。その原因は、それぞれ担当するスタッフが固定化してきていることが原因のひとつにあげられるようです。そのような状況の中で、「非コロナ部門の同僚から避けられるようになった」や「独身の看護師だけにコロナ対応の仕事が押しつけられる」「同じ職場なのに「あの人コロナの対応しているらしいよ」と言われる」などなどの相談もよせられるようになってきています。病院(職場)には、コロナ以外の重症化リスクの高い患者さんも入院されており、院内感染のリスクを下げるために必要な対応として実施しているようですが、残念ながら職場内の“分断”とも言えるような状況が生じてしまっています。


そこで今回のコロナ対応している医療従事者だけではなく、医療機関で働く医療従事者の皆さんのだれしもが持つ心理状態を理解する必要があるのではないでしょうか。もちろんそこには、程度の問題があります。しかしながら、医療機関で働くすべての人にある心理状態としてまずは、理解する必要があると思います。

医療従事者の心理状態として、

① 感染の不安や恐怖に常におびえながら仕事に取り組む
② 強い使命感や責任感で仕事に取り組む
③ 患者や地域からの怒りや偏見の目が向けられることで虚無感にとらわれる

というような、なんとも複雑な心理状態は誰しもが持っていることではないでしょうか?このような心理状態で働くと①のような心理状態では、激務になればなるほど、どんどんとストレスが強くなります。また、②のような心理状態がずっと続くと、ガソリン切れになってしまった車ように動けなくなってしまう燃え尽き症候群に陥りやすくなります。そこに加えて③のように理解のない周囲との関係では、やることすべてが虚しく感じ、何事にも意味や価値が感じられないような感覚に陥ってしまいます。そこで、残念ながら理解のない周囲の人々を今すぐ変えることは難しいですが、同じ職場で働く医療従事者として、同じような気持ちを持つ者として現場で働くすべての人を「孤立させない」ということが大切です。コロナ部門だけでなく、非コロナ部門も同じ気持ちを持って働いているということを
今一度見直してみてはいかがでしょうか。


ウイルスは目に見えないものであり、そして、今回のコロナウイルスは新しい病気でまだ明確な予防、治療法が確立していないことから収束の期間も定まりません。そして、医療従事者であっても一人の人間として、人間は解らないものを恐れる傾向は誰しもが感じて同じ心理状態になるということです。
そして職場でできることとしては、定期的に集まって話ができる場所を持つことです。
コロナの対応だろうがそうでなかろうが一緒に話をする場を設け、そこでお互いの働きを労い合うこともとても大切なことだと思うのです。


是非、日頃感じている不安や恐怖といった感情が出し合える環境を作っていただければと思います。

 

産業カウンセラー
    大槻 久美子

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