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●カウンセラーのつぶやき● ~自殺者急増の裏側~

 

このたびの新型コロナウイルス感染症にり患された方とご家族、関係者の皆様にお見舞い申し上げると同時に、亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、医療機関・福祉職場にて働かれている方々をはじめ、感染症拡大防止に日々ご尽力されている皆様には、尊敬の念に堪えません。ここに敬意を表しますと共に心から感謝いたします。

 

12月に入りコロナ感染の拡大がどんどんと広がっている中、なんとかこれまで減少傾向に留められてきた「自殺者数」が7月を境に昨年の自殺者数を上回ってくるようになりました。特にこの10月においては、全体で2158人となり、男性は前年同月比で21.3%増え1302人だったのに対し、女性は前年同月比でなんと82.6%増851人となりました。年齢別では特に20代と40代で増えていることが分かりました。人数では男性1306人に対して女性852人とまだ以前と変わらず男性が上回っていますが、今回のコロナ禍がいかに女性に厳しい状況になっているかを物語っているように感じています。そこには、コロナ感染拡大が深刻化した4月頃から、パートなどの非正規で雇用されているシングルマザーたちが仕事を失い、生活がままならなくなっているといったような報道も多く目に留まるようになりました。本当にそれだけでしょうか?サービス業という職種についている割合は、やはり女性の方が多いです。また、医療や福祉に従事されているエッセンシャルワーカーという働き方の多くは、女性の仕事になっています。仕事の内容から見て男性との働き方に違いはあります。ただ、正社員であっても未だに給与などの賃金格差は解消されていません。今後も先の見えないコロナ禍の中で、自殺者の増加を「シングルマザー問題」だけにすり替えてしまうのは危険なように感じます。政府が言うように「経済も回していかないといけない」「コロナの対応も必要」ブレーキとアクセルを同時に踏み込まないといけないこの矛盾した状況は、どこかで思い切った判断で脱出しなければならないように感じています。では、「何からすればいいのか?」です。そこで、一人ひとりができることは何があるのだろうと考えた時、もちろん「感染対策」の手洗い、うがい、マスクの着用など最低限な対策を徹底することは何よりも大切です。
そして、一人の力としては、微力ではあるのですが、まずは、どのような環境においても、男女や地位など関係なく「孤立させない」ということではないでしょうか?どんな形での繋がり方でもよくて、「一人にしない」「一人にさせない」を合言葉として、まずは「声かけ」からやってみてはいかがでしょうか?今だからこそ、朝の挨拶や業務開始の挨拶からでも実践してみてはいかがでしょうか。

 

また、職場の管理職やリーダーの方はコロナ禍のもとで、組織として頑張っているスタッフを守ることがなによりも大切なことになります。そのために大切な3つのポイントを挙げてみます。

①いつもと違う状態を観察すること
例えば、業務の最中に落ち着かなかったり、ほかのメンバーを批判したりするなど、普段と違う様子があれば、そこは思い切って現場から離脱させるなどの対応をすることも必要です。スタッフを守るために「一人にしない」環境を作ることが大切です。

②業務軽減というメリハリ
コロナ禍の中で業務が無限に増え続けるとされている中であっても、休みを確実にとれるようにすることや、交代制を見直して今やらないといけない業務がいつ終わるかの「見通し」をつけること、さらには「優先順位」をつけて急ぎでない業務は後回しにするなど、業務の軽減だけではなく「メリハリ」をつけてみる。

③うまくいったケースなどの共有化
スタッフの配置や患者対応でうまくいったケースや、その時のスキル、ノウハウなどの共有化を他の医療機関や他業種とも共有できるようにしてみても新たな発見があるかもしれません。

 

一人ひとりができること、職場として組織ができること、それぞれが今できることを一つひとつ確実に行うことで防げることは沢山あると思います。ぜひ、今この時期だからこそ、今できることからやっていきたいと改めて感じています。

 

産業カウンセラー
    大槻 久美子

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