パワハラと誤解されないための「7つの指導ポイント」番外編
「世代間ギャップを受け入れてお互いを理解する」をポイントに合わせた詳細を解説していきます。
これまで積み上げてきた職場環境は、社会状況の変化と共に大きく変化しながら 作られてきました。そして同時に
この社会状況の変化は、各世代の育ち方に影響 を与えてきました。よって、今の職場には、色々な価値観を持った
世代の人間が 一緒に仕事をしていることになります。育ち方の違いによって持つ「価値観の違い =世代間ギャップ」
をお互いが理解し、受け入れることによってハラスメントと誤解されることのない指導ができるようになるはずです。
そこで、まずは、各世代の特徴を見ていきたいと思います。
上司世代(~55歳まで)・・・今の職場では、指導をする側の世代になります。この世代は、上司や周囲からも
暖かくも厳しくも育てられた世代です。自分という ものをしっかりと確立しなければならず、そのために勉強し、
仕事へも高い意識を 持ちながら、一つひとつ仕事を丁寧にやってきた人が多い世代になります。
だから こそ確実性をもち安定を望んでいます。ただこのところの急激なITの変化について いけずついこれまでの
やり方にこだわってしまいやすい世代になります。
バブル世代(54歳~49歳)・・・前向きで元気がよくちょっとお調子者でノリが良く見えることより、他人を巻き
込んで何か一緒にすることに躊躇なく実施できたり、 「まずやってみる」というように仕事に対しても積極的に取り
組みます。ただ、残念 ながら考えなく行動しているように見えることもあります。また、一方でどこか自分に 自信が
なかったりします。そのため自信のなさを補うように頑張るのですが、褒められ ることにあまりなれていないため
頑張っていることに疲れて「ソコソコでいいか」と 思ってしまう一面もあります。
このように少し二極性の見える世代です。
就職氷河期世代(49歳~32歳)・・・バブル崩壊後の世代になり厳しい就職活動を 通じて、自分のキャリアは、自分で
切り開け、プロになりなさい、安定が大切だと いわれて育ってきた世代です。責任感も強く、専門性を高め、自分を磨く
ための労力は おしみません。ただ、これまで、人を巻き込むことや人と何か一緒にするということが 減ってきた世代に
なるため、「リーダー」という言葉に弱く、自信がなく不安が多い世代 になります。そのため、すぐ上のバブル世代に
対しては、「しっかりしていない」や 「いい加減」、後輩に対しては、「いつも答えを求めて考えない」などというよう
な思いから他人と比較してしまいます。
ゆとり世代(32歳~)・・・バブル崩壊後の「失われた10年」に成長期を迎えた世代に なります。よって、ゆとり世代も
多くの不安を抱えて育ってきた世代です。自分の居場所 を失うことへの不安があります。そのため「誰かのために」や人
とつながることが容易です。 また、人と違うことに興味はあるけれど完全に違うとされることへの不安を抱えています。
だからこそ、ちょっとした指摘も深刻に受け止めてしまったり、指摘されることに対しての 耐性が弱かったりまします。
どこかで自分らしさやマイペースを貫こうとしてしまうためにどこか自信たっぷりに見えたりすることもあります。
職場は、このように色々な価値観をもった世代が一緒に一つの目標に向かって進んでいかな ければならない環境なのです。
そして、それぞれの世代が、自分の価値観を優先して「自分の 価値観が当たり前」とするのではなく、それぞれの価値観
を受け入れながらその世代にあった 指摘の仕方が必要になります。
例えば、上司世代が部下を指摘する際には、
バブル世代に対しては・・・頼られると頑張るため、あえて頼ってみたり、指摘内容を行動面に 落とし込んで指摘して
みましょう。
就職氷河期世代対しては・・・社会の不条理を感じながらも、自分の成長に向けて頑張れる力が あります。専門的な面
からの指摘や全てを任せるのではなく頼りながら一緒に考えていくスタンス での指摘をしてみましょう。
ゆとり世代に対しては・・・「認められたい」という気持ちが強く、誰かのために何かすることに 対しては、あまり
違和感なく受け入れることができるため指摘も直接的な指摘ではなく社会的価値 を伝えながら指摘してみましょう。
きっとそれぞれの世代に良い面、足りない面があるはずです。自分達の価値観が全てではなく、各 世代の良い面を伸ばす
形での指摘をすることができれば、パワハラと誤解されずに指摘し、指導する ことができるのではないでしょうか。