少しずつコロナウィルス感染症も落ち着きを見せてきましたが、一方で今年はインフルエンザが流行しているようです。
医療機関、福祉機関の方々においては、一息つく暇もなくという状況でしょうか。
そろそろ巷では、新規採用の職員を迎える準備が始まっています。
そんな中、やはり気になるのは「Z世代」と言われる最近の若者についてです。ここ3年コロナウィルス感染症の影響もあり、今年卒業をする中高生並びに看護学生は、マスクを外した素顔が見えない状況での学生生活を送ってきています。そんな若者の特徴や新入社員の傾向に関して、色々な場所でさまざまな意見や主張が飛び交い始めています。
今回は、最近の若者の「3つの傾向」を新入職員の指導育成する立場にある上司の方にご理解いただければと思います。
<傾向1> 想像力が薄い
仕事を実施していく上で「自分が今どのような感情か?」また「相手が今、どのような感情を抱いているか」「自分のとった言動が周囲にどういう影響を及ぼすか」「この先どのような結果になるか」等々、自分なりの考えや思いをもっていないと仕事で成果を出すことは難しくなります。そのためには、「想像力」がとても大切になるのですが、最近では自分の目の前の事象(出来事)は理解できますが「想像力」の貧弱な方が若い世代を中心に増えつつある印象を受けています。特に最近の若者「Z世代」は、デジタルネイティブと言われるように、幼いころからタブレットやスマホなどのツールを使いこなし、必要な情報を検索機能で収集する能力が長けています。検索画面で調べたい内容を打ち込めば、YouTube先生やGoogle先生が答えを出してくれます。そうなると残念ながら自分で想像して考える機会が減ることで、考える習慣が少なくなっていることが影響しているのかもしれません。
<傾向2>納得しないと動かない
社会生活を送っていく中で「個人の生活」と「仕事」との関係が、仕事の中に生活があった「ライフ・イン・ワーク」(昭和)から、仕事と生活のバランスを大切にする「ワーク・ライフ・バランス」(平成)へと時代とともに変わってきました。そして、今後は更に生活の中に仕事があるという「ワーク・イン・ライフ」(令和)へと変わりつつあります。それにより、生活スタイルも変化してきています。こうした「ワーク・イン・ライフ」時代には「職場の方針だから受け入れるのは当然だ」や「上司の命令には絶対従わないといけない」といった考え方は通用しなくなります。例えば、自分の意思を持つということは一見とても大切なように見えるのですが、自分の考えを会社や上司に合わせるよりも、自分の意思を持つことで職場や上司の考えに納得感が得られなければ、その方針や指示命令に従うことはない。また、その結果「職場に居づらくなったら転職すればいい」という発想をもった若者が増えてきており、これまでの「帰属意識」に変化がでてきています。
<傾向3>貢献感と成長実感の2つの感を求める
最近の教育現場では「自己有用感」を高めることが推奨されています。この自己有用感とは、他人の役に立った、他人に喜んでもらえたというような感情をいいます。これは「自己肯定感」の中の1つとされており、相手の存在なしには生まれてこない感情です。その中で、自分の行動が誰かの役に立ったことで「ありがとう」「助かりました」「あなたのおかげです」といった、相手からの感謝のメッセージを受け取ることで得られるのが「貢献感」です。
一方、「できなかったことが、できるようになった」「精神的に強くなった」等、仕事を通じて自らの専門性や人間性が高まった「できた」と認識することで強化されるのが「成長実感」です。これら「2つの感」が満たされるかどうかが、最近の若者の仕事を選ぶ基準の1つとなっています。そこに物足りなさを感じると、簡単に離職する見切りの早さもこのZ世代の特徴と言えます。
このような特徴を持つ若者「Z世代」は、このような特徴があることを理解したうえでの指導が今後必要になります。
上位世代は、今後の指導方法についても少しこれまでとは違った視点での指導が必要とされるかもしれませんね。
公認心理師・産業カウンセラー
大槻 久美子