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●カウンセラーのつぶやき● ~これから求められるリーダーシップとは~

医療機関、福祉職場にて働かれている方々をはじめ、感染症拡大防止に日々ご尽力されている皆様には、尊敬の念に堪えません。ここに、敬意を表しますと共に、心から感謝いたします。

今年も残すところあとわずかになってきました。
この12月は、ワールドカップが開催され今年は、少しずつ以前のような日常が戻ってきたことを感じる方も多かったのではないでしょうか?こうして、また新しい日常が作られていくように感じています。そんな中、サッカーワールドカップ日本代表をベスト16まで導いた森保監督の行動が注目を浴びています。なぜなら、そこには、これからのリーダー像というものが重なっているからです。では、森保監督とはどんな監督なのでしょうか?
森保監督は、自身のことをこのように表現しています。

「俺についてこい」というタイプではない。むしろみんなで考えてやっていこうというスタイル。「どちらかといえば、先頭に立つよりは後ろにいながら全体を見ていくという感じ」と語っています。

確かに「一緒に考える」というスタイルが随所に感じられました。森保監督のリーダー像は、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出す「サーバントリーダー」という形でこれまで多くの人がイメージするリーダー像の「俺についてこい!」というリーダーではなく、周囲を信頼して「任せる」というリーダーと言えると思います。実は、これから求められるリーダー像というのは、このような形ではないでしょうか?どうしても「俺についてこいタイプ」は、そのリーダーの知識やスキル、経験が考え方の基本になります。しかし、今は多くの情報量が簡単に手に入る時代になってきました。知識やスキルは、おのずと数多く入ってきます。ただ、残念ながら情報量が多すぎると余計に迷ってしまい、混乱さえ起こしてしまいます。そうなると、リーダーの知識やスキル、これまでの経験も多くの情報量の中の1つに過ぎません。これからのリーダーは、入ってくる情報をいかに整理しチーム一人ひとりを同じ方向に向けていくかが必要になるのではないでしょうか。与えるだけのリーダーではなく、それぞれが持っている情報を出し合い整理しながら共に考えるということができる環境を作るのが大切です。だからこそ、今回の森保監督の行動は、見ている人の気持ちも動かしたのではないでしょうか?そこで、今回はリーダーシップについてお伝えします。

リーダーシップ理論というのには、様々な種類が存在しています。時代に合わせて変化してきました。また、現代においても人々の価値観の変化や、ニーズの多様化など、ビジネス環境は変化しつづけており、リーダーシップというものは、常に時代に合わせて変化していくものです。そのなかで、最近注目されているリーダーシップ理論を3つ紹介します。

①オーセンティックリーダーシップ
これは、高い倫理観や道徳観をもつと同時に、リーダー自身が大切にしている価値観や考え方に根ざして組織をリードするリーダーシップです。オーセンティックリーダーシップは、リーダーがメンバー一人ひとりと本音で向き合うことで信頼関係を築き、メンバーそれぞれの個性や強みを把握し、どう生かせるかを考えて行動します。オーセンティックリーダーシップは、メンバーの多様な強みを生かせる組織づくりに有効とされます。オーセンティックリーダーシップには、以下5つの特性が求められます。

 1.情熱をもって目的を追求する:追求力
 2.自分なりの価値観にもとづいて行動する:実行力
 3.真心をもってリードする:推進力
 4.継続的に人間関係を構築する:継続力
 5.セルフマネジメントする:内省力

②サーバントリーダーシップ
リーダーである人は、まず相手を尊重し、その後相手を導くという考えにもとづいたリーダーシップです。サーバントリーダーシップは、相手の話を傾聴し、コーチングやメンタリングによって目標達成に導きます。そして、この過程においてリーダーと相手との信頼関係も構築されます。メンバーが心から信頼できるリーダーになることで、本当に強い組織が生まれます。サーバントリーダーシップには、以下10個の特性が求められます。

 1.相手の声に耳を傾ける:傾聴力
 2.相手の立場に立って考える:共感力
 3.安心できる時間を作ることができる:癒し力
 4.柔軟な発想ができる:気づき
 5.理論的思考ができる:説得力
 6.広く大きな視野を持って普遍的にみることができる:概念化
 7.先々のイメージが持てる:先見力・予見力
 8.客観的思考ができる:執事(裏方)役
 9.目標の設定がイメージできる:人々の成長に関わる
 10. 双方向での情報のやり取りができる:コミュニティ力

③シェアドリーダーシップ
組織内のメンバー全員がリーダーシップを発揮するリーダーシップの形です。リーダーの役割をシェア(共有)して
いる状態ともいえ、状況に応じてリーダーシップを発揮するメンバーと、それに従い主体的に動いているメンバーが
入れ替わるのが特徴です。とはいえ、シェアドリーダーシップにおいても、代表としての役職としてのリーダーは必要といわれています。メンバーそれぞれにリーダーシップを発揮してもらうために、代表としてのリーダーに求められることは、以下3つの特性があります。

 1.なにをすれば組織に貢献できるか、自分の強みを生かしたスタイルでメンバー自身に自覚を促す力
 2.メンバーに対するアプローチ方法(ファシリテートやコーチングなど)を習得している。
 3.会議などの進め方を実際に変える

最近注目されているのが、この3つのリーダーシップです。
「オーセンティックリーダーシップ」「サーバントリーダーシップ」「シェアドリーダーシップ」は、いずれも相手を命令によって「俺についてこい!」と動かすのではなく、信頼によって「任せて」個々が主体的に動ける組織へと導くものとなり、「俺についてこい!」の支配型リーダーシップとは異なる考え方です。

これからの時代に適応した組織を作り上げていくためにも、率先して先に進むのではなく、横に並びながら一緒に
考えてみてはいかがでしょうか?少し頭の片隅に置いてみてください。

公認心理師・産業カウンセラー
    大槻 久美子

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