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●カウンセラーのつぶやき● ~人が足りない職場だからこそ「業務の見える化」~

このたびの新型コロナウイルス感染症にり患された方とご家族、関係者の皆様にお見舞い申し上げると同時に、亡くなられた方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。
また、医療機関、福祉職場にて働かれている方々をはじめ、感染症拡大防止に日々ご尽力されている皆様には、尊敬の念に堪えません。
ここに、敬意を表しますと共に、心から感謝いたします。

オミクロン株が猛威を振るいこれまでにない感染者数になってきています。
今回は、無症状か軽症と言われてきましたが、そうとは言い切れない状況になってきています。今回の感染は、子供からの感染が広がり今もまだ休園を余儀無くされている保育園や、学級閉鎖になってしまう小学校も後を絶ちません。特に保育園が休園になると子供たちだけの問題ではなく、預けている親も職場を休まないといけなくなる事態になっています。特に、保育園に預けている親御さんの職場は、医療・福祉関係のエッセンシャルワーカーとして働くお母さん達が多く、子供が休むとその職場での絶対的人数が減ってしまい、病院や福祉施設の業務そのものがひっ迫し、日々なんとか回しているという状態のところも少なくはないようです。
そこで今回は、育児休暇中だったA子(35歳)さんの復職事例をご紹介し、職場の受け入れ体制を見直してみていただければと思います。

看護師として働いていたA子さん(35歳)は、結婚し長女を出産して1年の育児休暇が終わろうとしていた頃に2人目(長男)の妊娠が分かり、復帰半年で再度産休に入ることになりました。今年4月に2人目の保育園が決まれば職場復帰というところまで来ました。今回のコロナ禍での様子を見て「自分だけ休ませてもらっているのは悪い。自分にも何かできないか?」ということで、長男の保育園の受け入れも整い、今年1月に職場復帰をすることにしました。産休や育休からの復帰は、長女の時に経験していたので特に不安に思うこともなく職場復帰の準備を行っていました。
いよいよ復帰の日、今までいたところに復帰したのですが、今回のコロナの影響でイメージしていたよりも職場の状況は、ひっ迫しており、勤務状況にも影響が出てきていました。頭ではなんとなく分かっており、このような状況があるからこそ「少しでも力になりたい」と思って復帰したのですが、自分がイメージしていた状況と現実の状況の違いにかなり困惑することになってしまいました。業務に必要な技術面などは、大きな問題はありませんでした。ただ、周囲との人間関係に疲れることが多くなってしまったのです。特に復帰前と後では、上司が変わっており、やり方も変わっていました。どこかで「少しコロナ禍の業務を経験しているので大丈夫」と思っていましたが、自分の生活スタイルも変わる中、仕事のやり方も変わる。日々の状況もめまぐるしく変わるという中での復帰は、思っていたよりも難しいものでした。
そこには「職場の人間関係」という壁があり、上司や同僚とのコミュニケーションがとりづらくなってしまっていることが1番の要因でした。前回の職場復帰の際には、少し前に同僚たちに今の職場状況など聴くことができました。でも今は、それもできないままの職場復帰となり疲労だけが残る状況となってしまいました。この事例は、育休からの職場復帰という形でしたが、今後、人手が減ることにより、新しい人たちを迎えることも多々出てくることになるでしょう。

ある転職サイトのアンケートでは、87%が「新しい職場での人間関係に不安を感じる」と回答しています。また、不安を感じる相手、トップは「直属の上司」となっており、年齢が高くなるにつれて上司に継いで2位「同僚」(70%)、3位が「先輩」(64%)となり、年齢が上がると自身の先輩にあたる存在が限られ、同僚との関係を心配する方が多くなるようです。

新しい人や職場復帰をする人を受け入れる体制として、まずは、上司がしっかりと現状の把握を行い「何を求めるのか」ということを明確にし、説明することが大切になります。また、忙しければなおさら、指導する時間も取れなくなってしまいます。そのためには、指導マニュアルの徹底なども必要ですが、忙しい時期だからこそ、なによりも必要なのは「業務の見える化」を行うことです。「業務の見える化」は、日々一つひとつの業務からでも実施可能です。「人手が欲しくて新しい人に来てもらったのはいいけれど、何をやってもらったらいいか分からない」は、お互いにとって不幸の始まりになりかねません。今回のA子さんの事例は、まさしく「業務の見える化」を行ってもらうことで、業務そのものに問題のないA子さんは、自分から仕事を見つけて動き出せるようになり、周囲との関係も良い形に変わり始めました。そして、A子さんには、自分の生活スタイルが変わったことへの再認識をしてもらい、新しい生活スタイルの構築を行うことにしました。

是非、新しい人を気持ちよく受け入れる体制づくりを一度考えてみてください。忙しく、大変な時期だからこそ一人一人ができることからやっていくことで大きな力になります。

公認心理師・産業カウンセラー
    大槻 久美子

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