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●大槻カウンセラーのつぶやき●3月は「自殺対策強化月間」

3月に入り暦の上では春の暖かさを感じて、冬籠りをしていた虫も外に這い出てくる頃である「啓蟄」となりました。この早春は朝晩の寒暖差も大きく体に大きなストレスとなります。そして自律神経のバランスを崩しやすく、疲労や倦怠感を引き起こします。また3月~4月は年度の変わり目でもあり、異動や新採の受け入れ準備、それに伴う職場環境の変化も多い時期です。プライベートでもご自身だけではなく家族のライフイベントの変化が起こりやすくなります。この環境の変化は心にも大きなストレスをもたらします。何かとストレスを抱えやすいこの時期、中でも3月は1年の中で最も自殺者が増える月でもあります。この深刻な問題について、内閣府は毎年3月を「自殺対策強化月間」として自殺防止のための情報提供や支援などの取り組みを行っています。今回は「自殺対策強化月間」としてみなさんが職場でできる対策についてお伝えしていきます。

 

●「ゲートキーパー」というサポーター

・「ゲートキーパー」とは?

「ゲートキーパー」とは自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞き、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人のことで、いのちの危機を救う存在と言えます。

 

「自殺総合対策大綱(平成19年6月8日閣議決定)」においては特に重点施策の一つとして、かかりつけの医師、保健師、看護師、ケアマネージャー、各種相談窓口担当者など、悩みを持つ人と接触するあらゆる分野の人材にゲートキーパーとなっていただけるための研修等を行うことを規定し、養成のためのテキストやDVDを作成・公開しています。

 

ゲートキーパーの詳細・内閣府HP

→ http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/kyoukagekkan/gatekeeper.html

 

●あなたも「ゲートキーパー」になりましょう!

・「ゲートキーパー」になるには?

ゲートキーパーの役割は、心理的・社会的な問題や生活上の問題、健康上の問題などを抱えている自殺の危険性がある人々に気づき適切に関わることです。ゲートキーパーになるために特に必要となる資格はありません。重要なことはあらゆる分野のあらゆる立場の人たちがゲートキーパーに求められるポイントを持って、その役割を担っていくことなのです。

 

・「ゲートキーパー」4つのポイント

①気づき・・・職場の仲間、家族や友人の変化に気づき、声をかける

(声かけの例)

「最近、眠れてる?」「なんだか元気がないみたいだけど、大丈夫?」

「何か悩んでる?よかったら話して」「何か力になれることはないかな?」

 

②傾聴・・・本人の気持ちを尊重し、耳を傾ける

(傾聴のポイント)

・話しやすい環境つくり(話しやすい場所や十分な時間を持つこと)

・個人的な判断や批評をせずに聴く

・悩みを真剣な態度で受けとめる

・相手を尊重し感情を否定しない

・誠実にあいづちやうなずきながら受容して聴く

・話を聞いたら、ねぎらいの言葉をかける

 

③つなぎ・・・早目に専門家へ相談するよう促す

(つなぎのポイント)

・紹介にあたって相談者に丁寧な情報提供をする

・相談者の了承を得た上で、相談窓口に確実につながるように、可能な限り相談者の家族や友人など周囲の人と連携を取り、相談場所や日時を具体的に設定し、相談者へ伝える

・一緒に連携先へ出向くのが難しい場合は、専門先の地図やパンフレットなど情報提供を確実にする。

 

④見守り・・・温かく寄り添いながら、じっくりと見守る

連携先につないだ後も、必要時には相談に乗ることを伝える

 

ゲートキーパーの役割はまず自殺を考える人の「サイン」に気づくことです。あなたの周囲の人が、憂鬱そうな顔をしている、かなり疲労している様子、眠れていない、食欲がない、口数が少ない、独りで過ごしている、身だしなみがだらしなくなっている等、「いつもと違う状態」になっている場合はそのサインの可能性があります。こうしたサインが見られたら、じっくり話を聴いて相談者に寄り添い、専門家へつなぎ、ゆっくり休養させ、トータルに見守り支えていくことが大切です。

 

●あなたの「ゲートキーパー」を持ちましょう

・誰でも心身の不調に陥る場合がある

いつも周囲のゲートキーパーでいる立場であったとしても、ストレスが重なったり、大きな不安や心配事が起ると心にダメージを受けることがあります。ご自身に「いつもと違う状態」のサインが起きた時、決して独りで悩みを抱え込まず、まずは誰かに話してみてください。周囲の信頼できる人に悩みを打ち明けることで独りでは思いもよらなかった考えや方法など「新しい道」がきっと見つかります。また私たち専門家へ相談することも大変有効な方法です。

 

心理的に追い込まれた状況になると、誰でも「死んでしまいたい!」と考えてしまう恐れがあります。しかし、「死にたい」という考えは「生きたい」という本心とのせめぎ合いの状況でもあり、必ず自殺を選んでしまった人には何らかのサインを発しているものです。自殺の多くが防ぐことができた問題であり、何よりも周囲がそのサインに気づいて適切なサポートをしていくことが重要です。みなさんの気づき、そして声かけ、話を聴くことから自殺を思い留まり、問題を乗り越えていくことにつながるのです。

是非この機会に、「ゲートキーパー」としての役割を意識して新しい季節を迎えてください。

 

産業カウンセラー

大槻 久美子

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