ゴールデンウィークも終わり、暦の上では「夏」になってきました。今回は、最近少しずつ聞かれる
ようになった「5月病」から「6月病」についてお伝えしたいと思います。
最近では、5月病という言葉は既に世間に広く認知されており、多くの人が知ることになっています。
この5月病の症状として一般的によく知られているのは、「まじめに業務をこなしていた新入社員が、
大型連休が明けた頃から抑うつや無気力状態に陥ったり、体のだるさなどの症状を訴えたりする」
というものがよく言われています。
その5月病とともに最近では、この5月病と似た症状を6月に呈する「6月病」なる病にかかる人が
増えているということも言われ始めるようになりました。では、この5月病と6月病とは、一体どう
いうものでしょうか?
まずは、6月病の前に5月病を理解してから6月病をご紹介したいと思います。
これまでもよく言われてきた「5月病」ですが、そもそも「5月病」、「6月病」とも医学的な病名は
ありません。それでは、いわゆる5月病や6月病の正体は何なのでしょうか? 国際疾病分類第10版(ICD10)
では「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」
を適応障害と定義していることから、これらの"病気"は適応障害に該当するとされています。
しかしながら5月病も6月病も正式な名称ではないため、「いつものこと」と安易にとらえ、対策が遅れて
しまいうるケースもあると本格的に「適応障害」「うつ病」「精神障害」「気分障害」と判断されてしまうこと
も起こります。まずは、症状をよく理解したうえで対策をしていくことが大切です。対策すべき5月病・6月病の
主な症状は、以下のものがあります。
神経症としては、不眠・不安・パニック などの症状、心身症としては、食欲不振・めまい・頭痛・胃痛・吐き気
などの症状があげられます。
特に5月病は、環境の変化でも陥ることが多いため、新社会人のみに限らず、職場の異動や職位の変化があるよう
な職員にも多くみられます。また、6月病は主に、新規採用者が陥ることが多いとされていますがどちらもあまり
変わらないのではないかと思っています。
なぜなら、5月病や6月病を引き起こす要因としては、以下のことが考えられるからです。
① 新しい環境で人間関係がうまく築けない。職場になじめない。
② 自分が思い描いていた生活と違っている。
③ 新しい環境に慣れない。
④ 大きな目標を達成したことで力尽きてしまう
⑤ 季節の変わり目や梅雨時期に入ると憂鬱な気持ちになりやすい
などがあげられます。
また、5月病、6月病にならないため、以下に気を付けていきましょう。
① 人との会話を増やす
② 睡眠の質を高める
③ 栄養や食事量のバランスを考えて摂取する
④ 自分の時間を大切にする。
まずは、できることからやっていきましょう。
そして何よりも「ストレスの発散」が大切になりますが、「ゴールデンウィークに遊んだので」と
控えるのではなく、日ごろから自分にとってのストレスの発散を少し気にかけてみてください。
「ゴールデンウィーク遊んだからこれからは、何もできない」と思ってしまうのは危険信号なのです。
ですが、医療機関に勤めている人には、ゴールデンウィークがない人もいます。そんな人ほど5月病に
陥ることが少ないとされていますが、実は、5月病にならなかった人ほどなりやすいのが6月病なのです。
だからこそ、さまざまな職業の中でも特にナースや医療関係者、福祉関係者が陥りやすいと考えられています。
「5月病にはなりたくない!」と意識をして真面目に頑張っている人ほど、緊張の糸が切れたときに、
6月病になりやすいというのを少し頭の片隅に置いておいてください。
産業カウンセラー
大槻 久美子