これから暑い夏がやってきます。
この季節、「暑い」ということでストレスと感じる人もいれば、 クーラーがききすぎて「寒い」ということが
ストレスとなる人もいます。 人によって、ストレスの感じ方は様々です。そのような中、私たちは、
必ず一日1度はストレスの発散をしています。それが「睡眠」です。
ですが、夏本番になり熱帯夜が続くと「睡眠障害」の症状が出やすくなって きてしまいます。
例えば、ベッドに入ってもなかなか眠れない「入眠困難」や一旦眠りについても 何度も起きてしまう「途中覚醒」、
夜の10時に寝るのですが、夜中2時くらいに 起きてしまい眠れなくなってしまう「早朝覚醒」、眠りが浅く睡眠時間は
取れて いるのですが熟睡感がない「熟眠障害」などこれらを「不眠症」といいます。
こうなると「睡眠の質」が悪くなり「寝不足」というだけではなく、 日々溜まってくるストレスの発散もできません。
ひいては、集中力の低下につながり、 ささいなミスや間違い、事故などの引き金になってしまうことさえ起こってしまいます。
実は、睡眠には、驚くべき作用があり、人にとってなくてはならないものなのです。
これまで睡眠は、脳の休養と考えられてきました。
ですが最近は、睡眠には、 ①身体や脳を休めて疲れを回復させる「疲労回復」 ②成長ホルモンの分泌による
怪我の修復や身体の成長「新陳代謝」 ③脳に溜まった情報を記憶する「記憶の固定」
④夢を見ることでストレス解消「ストレスの発散」という大切な働きをしていることが分かってきました。
特に③「記憶の固定」は、起きている間に得た情報を記憶として保ち、睡眠によりしっかりとした記憶へと
固定していきます。ですから当然寝不足になると 記憶力は低下していきます。
また、④良い夢も悪い夢も含めて人は、睡眠中に夢を見ます。 そして、夢を見ることでその日に集めた情報を整理、
仕分けすることでストレスからの 問題解決をこなしています。
ということは、夢を見ることで人は、ストレスに耐える力を つけていることになります。
このように「睡眠=寝る」と一言で言っても人には欠かせないとても大切なものなのです。
では、どうすれば質の良い睡眠が取れるのでしょうか?
睡眠の質を上げるためのコツをいくつかご紹介します。
是非、職場で、「睡眠不足だな」と思える人を見かけたらこの4つのコツを 伝授してあげてください。
①理想の適温をキープする。
快眠できる理想的な温度は26℃前後、湿度は50%から60%前後といわれており、
布団の中の温度が33℃前後、湿度55%前後と言われています。 この状態を作るには、エアコンや
扇風機を利用するのが最も現実的な方法ですが、 「比較的涼しい」と感じるなら扇風機を使用し、
「熱帯夜で暑すぎ」と思うなら クーラーを使い分けましょう。クーラーを使用する場合は、寝付いてからの
2〜3時間で消すのが質の良い睡眠につながります。 よって、寝るときにスイッチを入れるなら
4時間タイマーがいい頃合いかもしれません。
②ぬるめのお風呂に入る。
夏は、ついシャワーにしがちですが質の良い睡眠には、お風呂が最適です。
人は、体の奥の体温が下がる時に、眠くなるようにできています。 そこで、お風呂に入りわざと体温を上げた後、
平熱まで下げる事で自然な睡眠を 促していきます。お風呂は、38度〜40℃くらいのぬるま湯に30分間。
ベッドに入る2時間前に上がり、ゆっくりと体温を下げていくことがコツです。
③眠くなったら布団に入る。
眠れない人の多くにベッドの中でゴロゴロしているという人が多くいます。 これを繰り返すと、ベッドに入っても
眠れないという意識が働き、今まで眠かったのに、 ベッドに入った瞬間に目が覚めるようになってしまいます。
また最近では、眠れないのでスマホについ手が伸びてしまうこともあります。
実は、スマホから出る明るさは、目から入る光で脳を興奮させ覚醒状態に持っていって しまいます。
そのため睡眠の質が落ちます。 寝る前の1時間はスマホやゲームは控えましょう。
④寝酒はしない。(危険信号)
眠れないのでお酒の力を借りてという方も少なくありません。
実は、寝酒からアルコール依存症となってしまうケースも多く睡眠薬代わりの アルコールは、
睡眠の質を悪化させることになります。
そして、なによりも朝起きたらしっかり朝日を浴びてください。
その日の睡眠と覚醒のリズムを整えるもっとも簡単で有効な方法は、 朝起きたときに「日光を浴びる」ことなのです。
是非、質の良い睡眠をとってストレスを発散しストレスに負けない身体づくりをして、
いきいきと働ける職場づくりにお役立てください。
産業カウンセラー 大槻 久美子