職場復帰支援Q&A
あきらかにメンタルの問題を抱えていそうな社員に病院への受診を促したのだが拒否された。どうしたらいい? | |
就業規則に項目を加えルール化することも一つの方法です。 | |
休職中の社員とどのように連絡を取ればいいのか? | |
連絡担当窓口を設けできるだけ窓口を一つに絞ることが大切です。 特に人事・総務担当者が連携をとる。 休職者の疲労を避けるため連絡は同じ人がすることが望ましい。 |
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単身赴任や一人暮らしの社員が心の病になった。どのような対応をしたらいい? | |
一人暮らしの社員の場合には、実家に帰って休養するように説得することも検討すべきです。また、自分からはなかなか家族に伝えられないことが多いので、会社が家族を呼んで説明し理解を得た上でゆっくりと休むのも良い方法です。また、お薬の管理や通院日の調整、自殺対策という意味でもできるだけ一人の時間を作らないようにすることも必要な対応になります。どうしても一人暮らしになってしまう場合は、定期的に職場に連絡を入れることを義務付ける方法もあります。 | |
職場復帰の判断基準はどのようなものでしょうか? | |
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職場復帰の判断は誰が行うのでしょうか? | |
症状に対する診断は、主治医や精神科医が実施しますが、最終的には、職場側が復職先の職場の状況も勘案し判断をします。 | |
職場復帰をしてくる社員に対して、周囲の社員はどのように接したらいい? | |
普通に接する事が大切です。腫れ物に触るように過度に心配したり気を遣わないことです。休職者が職場復帰する前に「職場説明会」を実施し休職者の状態や接し方を知ることが必要です。 | |
職場復帰後も主治医との連携は必要なの? | |
お薬との関係がありますのでできるだけ連携できるようにしておくことが必要です。 | |
職場復帰後の再発を防止するために必要な対策は? | |
復職者の5つの「~したい」心理状態をしっかり理解すること。
職場環境の見直しなどを実施することが必要です。なぜなら休職者が出るということは、個人の問題ではなく職場の問題と捉えるべきだからです。 |
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職場復帰した社員が再発をしているようだ。どのような対策が必要? | |
再燃や再発の兆候が出てきた際には、できるだけ早い段階で再度主治医に連携をとり休養を勧めることが必要です。そして、本人にも周囲から見ていて再燃や再発の兆候があることを知らせる必要があります。 | |
慣らし(試し)出勤を行う上で注意する点は? | |
段階的に行うことが大切です。そして、無理をせずがんばり過ぎないことや失敗したとしても悩まず別の方法を検討するなどのストレス耐性をつけていくことも必要です。また、通院や投薬は、主治医の指導を通じて行い自分の勝手な判断で辞めたりしないことが大切です。 | |
慣らし(試し)出勤を導入するのはなぜ? | |
より早い段階で職場復帰の試みを開始することが出来、結果として早期の復帰に結びつけることが可能となっています。また、治療によって症状が軽快していく「気力の回復」と、勤務できるようになる「体力の回復」にはズレがあるといわれています。段階的な職場復帰は、このズレを埋めるのに効果があります。また、必要以上に焦ってしまうケースもあります。徐々に職場になれていくことでこの焦る気持ちからも解放されていきます。 | |
休職期間が満了時に復帰できない社員を解雇してもいいの? | |
就業規則において、「休職期間の満了時に、休職理由が消滅しない場合は解雇する」といった規則になっていれば規則に従って「解雇」します。ただ、解雇には、「1か月前の解雇通知」または、「1か月分の賃金の支払い」ということが必要になってきます。また、労災となった場合は、解雇には「療養のため休職している期間およびその後30日間の制限」(解雇制限)というものがあります。解雇制限がある場合、解雇期間が過ぎても解雇ができません。 | |
職場復帰の際、主治医と産業医の意見が違う場合はどうしたらいいの? | |
原則的には、「産業医」の意見を尊重すべきです。 「主治医」と「産業医」とでは、立場や判断基準が異なるケースがあります。 「主治医」は病気にフォーカスし、病状が回復し安定し、最低限の日常生活ができることを目指します。ですので、一般的には、仕事内容や職場環境の把握まではできません。「産業医」は就労にフォーカスし、健康で継続的に働けることを目指します。また、仕事内容や職場環境を把握したうえでの医学的判断をします。 |
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職場復帰支援プログラムとはなんですか? | |
「職場復帰支援プログラム」とは、メンタルヘルスの不調で長期休業していた労働者の復職を会社側が支援するにあたって、いつ、どこの職場であっても 適切な対応がとれるように、関係者の役割や活動の基本を、社内の実情に即した形であらかじめルール化しておくものです。メンタルヘルス対策上は「職場復帰 支援プログラム」が整備され、復帰する不調者ごとに個別の「職場復帰支援プラン」が作成されることが重要です。 ①職場復帰支援プログラム ②職場復帰支援プラン ③職場復帰支援に当たって留意するべき事項 |
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休職期間中の給与はどうなるのですか? | |
会社の就業規則で「休職」制度の規定に基づいて休職期間中に給与が貰えるかどうか決まります。会社の規定により「満額支給」だったり、「月額の●%を支給」だったり、「支給しない」という会社もあります。「休職」制度が無い会社は有給休暇を取って休むことになりますが、その場合は有給休暇分の給料は貰えます。また会社で健康保険に加入していれば、傷病手当金が支給される制度があります。まずは会社の「休職」の規定がどうなっているか確認が必要になります。 | |
休職中は何をすればいいのですか? | |
まずは、ゆっくりと「休養」することが必要になります。そして、次に体が動き始めたら起床、就寝時間などから「生活リズム」を整えていきます。その後、日中は、できるだけ仕事に近い状態を作るようにします。例えば、出勤に体を動かして散歩する。図書館にいって読書する。など | |
休職中に有給休暇は取れますか? | |
休職中に有給休暇は取れません。それは休職期間中とは労働義務がある日ではないからです。労働義務がないため有給休暇を請求することはできません。有給休暇は労働義務がある日に対して労働義務を免除する日です。 | |
休職者の個人(健康)情報は職場の人に知らせるべきですか? | |
健康情報は、すべて「個人情報」になりますので職場の人に知らせる必要はありません。ただ、本人の了解をとった上で知らせるのであれば特に問題はありません。また、個人情報の取り扱いについては、特に注意をしておく必要があります。 | |
職場復帰の際、配置転換や転勤をすることは可能ですか? | |
職場復帰に関しては原則として現職へ復帰させることになっています。 職場復帰に関しては「まずは現職に復帰」を原則とし、今後配置転換や異動が必要と思われる事例においても、まずは元の慣れた職場で、ある程度のペースがつかめるまで業務負担を軽減しながら経過を観察し、その上で配置転換や異動を考慮した方が良いとされています。 ただ、例外的に適応可能と思われる職場への異動を積極的に考慮した方が良い場合もあります。その方の状態に応じて臨機応変な対応がもとめられることもあり本人や職場、主治医等からも十分に情報を集め、総合的に判断しながら配置転換や異動の必要性を検討する必要があります。 |
職場復帰の実際
個々人より症状が異なるために統一した職場復帰支援を組むことが困難。
休職は簡単だが、復職は大変難しい。
職場復帰 事例
家族問題が中心になっているもの | 職場において特段の配慮を必要としない事例 |
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個人、環境の両面で配慮が必要なもの | 一定の就業面への配慮によって順調に復職できる事例 |
企業側の配慮が必要なもの | 個別性の強い(特別な)対応によって良い結果が得られる事例 |
自分から再燃・再発を繰り返す | どのような対応によっても上手くいかない事例 |
職場復帰の5つのステップ
第1ステップ |
病気休業開始 及び |
病気休業開始の労働者からの診断(病気休業診断書)書提出 |
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管理監督者によるケア及び事業場内産業保険スタッフ等によるケア | ||
病気休業期間中の労働者の安心感の醸成のための対応 | ||
その他 | ||
第2ステップ |
主治医による |
労働者からの職場復帰の意思表示と職場復帰の判断が記された診断書の提出 |
産業医による精査 | ||
主治医への情報提供 | ||
第3ステップ | 職場復帰可能の 可否判断 及び 職場復帰プランの作成 |
情報収集と評価 |
職場復帰可否についての判断 | ||
職場復帰支援プランの作成 | ||
第4ステップ | 最終的な 職場復帰の決定 |
労働者の状態の最終確認 |
就業上の配慮に関する意見書の作成 | ||
事業者による最終的な職場復帰の決定 | ||
その他 | ||
職場復帰 | ||
第5ステップ | 職場復帰後の フォローアップ |
疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無 |
勤務状況及び業務遂行能力の評価 | ||
職場復帰支援プランの実施状況の確認 | ||
治療状況の確認 | ||
職場復帰支援プランの評価と見直し | ||
職場環境等の改善等 | ||
管理監督者、同僚への配慮等 |
参考資料(PDFファイル)
厚生労働省パンフレット(全28頁)
~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~
「こころの健康により休業した労働者の職場復帰の手引き」