「五月病になる原因・予防・対策」
5月の空が気持ち良く晴れ渡り、新緑がうつくしくすがすがしい季節となりました。
みなさんはこの時期をいかがお過ごしでしょうか。
5月の空とは違って「何だか気分がすぐれない」「やる気が起らない」「疲れがとれない」など感じている人がいるかもしれません。
この5月の連休を過ぎた頃、新規採用者などに見られる、新しい環境にうまく適応できない、あるいは適応しようと頑張り過ぎることから起因する精神的な症状をまとめて「五月病」といわれています。
実は、医学書には「五月病」とういう正式な病名はありません。しかし、5月の代名詞ともいえるほど周知されている言葉になっています。
今回はこの「五月病」についてお伝えしていきます。
五月病は新規採用者に見られることが多いのですが、新規採用者に限らずこの季節は新年度の春の大編成など働くみなさんの環境が大きく変わることで中堅職員であっても発症することが増えています。
では、五月病の症状とはどのようなものでしょう?
5月病チェックリストにまとめていますのでチェックしてみましょう。
このチェックは、ご自身で実施していただいても、周囲の人の様子を見ていただきながら実施していただいても結構です。
- 他人と会うのが面倒くさい(ドタキャンを繰り返す)
- ネガティブに考えてクヨクヨ悩み続ける
- 睡眠不足が続いている
- 服装に気を使うのが面倒になり、そのまま出かけることが多い
- 通勤通学をする前後最中に体調が悪くなる
- 好きだった趣味をやるのもおっくうだ
- 朝になると行きたくなくなり、遅刻や欠勤が増える
- 「おはよう」「ありがとう」など、前から使っていた言葉を言い忘れる
- 仕事のミスが増え、効率が落ちた
- いつも読んでいる雑誌やテレビ番組を見たくなくなった
4~6個当てはまる方は、軽い抑うつ傾向が見られます。ストレスが高い状態ですので、この時点できちんと解消していきましょう。
7個以上ある方は要注意。5月病にかかっている可能性が高く、3か月以上長く続くようなら受診を勧めます。
このような精神的な症状に加え、下記のような身体的な症状も出てくることがあります。
・食欲がない
・腹痛や胃の痛み
・動悸がする
・めまいがする
・頭痛や肩こり
では、五月病の症状はどのように治せばいいのでしょうか?
たいていの場合は一過性のもので、大体1~2ヶ月ぐらいで環境に慣れていき自然と症状が良くなるとされています。
しかし、症状が長引く場合は、深刻な状態になる前に医療機関に受診または、相談機関(カウンセリング等)で相談するようにしてください。
この時期、そして誰にでも起こる可能性のある五月病ですが、実は特に五月病なりやすい5つのタイプがあります。
・真面目である
・責任感が強い
・忍耐力がある
・完璧主義である
・周囲の人を気にする
このように真面目過ぎる人、頑張り過ぎる人は環境に必要以上に適応しようとするため、自分を抑えこんでしまい、ストレスを多く溜めやすくなります。
それでは、上記のタイプに当てはまる人、既に自分は五月病ではないかという人に効果的な予防法や対処法をお伝えします。
・悩みをひとりで抱え込まない
ストレスをひとりで抱え込み悶々としていると余計に悩みが大きくなり身動きが取れなくなります。家族や友人、職場の同僚など信頼できる誰かに悩みを相談してみましょう。悩みを話して聞いてもらうことだけでもストレスが軽減され、気持ちが落ち着きます。
・完璧主義を手放す
全てを完璧にしようとすることは想像以上に心に負担がかかります。できないことや失敗があっても大丈夫と心にゆとりを持ちましょう。また周囲にサポートを受けることも取り入れ孤立しないようにしましょう。
・食生活に気を配る
バランスの良い食事を摂ることは大切です。五月病の憂うつは感情をコントロールする脳内ホルモンセロトニンの不足が原因の1つでもあります。そこでセロトニンを高める食品であるバナナ、乳製品、大豆製品、卵黄、ナッツ類、赤身の魚を摂取しましょう。
・質の良い睡眠をとる
生活リズムを整えて睡眠の質を上げることも大切です。夕食は就寝の2~3時間前には済ます、入浴は就寝の1~2時間前まで、寝る前にテレビやパソコンなどの画面を見ないなどの生活習慣を身につけましょう。
・運動や趣味など好きなことをする時間を持つ
体を動かす、音楽や読書、映画や料理など自分の好きなことをする時間を持ちましょう。せめてオフの日は仕事を忘れてリラックスするとストレスが解消されます。
今回の対処法を試してみても心身の不調が続く場合は、無理や我慢をせずに相談してください。
また周囲の人に五月病の兆候が見られる人や新しい環境にある人に対して、周囲の人が積極的に声掛けをし、孤立することを防ぎ、相談しやすい職場環境を作りましょう。そうした働きかけが五月病の予防にもつながります。
是非、みなさん一人ひとりのセルフチェック、そして周囲とのつながりで健康で働きやすい職場を目指してください。
産業カウンセラー
大槻 久美子