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2017年6月

●大槻カウンセラーのつぶやき●職場の安全配慮義務

5月の大型連休も終わるとともに今年は気温の変化が激しくなっています。

そろそろ6月なのに猛暑日が続くような状況に体調の変化を感じる方も 少なくないはずです。

特にGW明けは、「五月病」というような症状も多く出る中で体調管理が 難しくなっています。

このような時期、メンタル不全での診断書も 出やすい時期になってきます。 そこで、今回は、

メンタル不全を発症した職員に対する「職場の安全配慮義務」 ということで、今年2月に京都地裁で

出た判決をご紹介したいと思います。

今年2月23日京都地裁にて、職場に診断書が出された場合、 職場が必要とする安全配慮義務に関して、

判決は、以下のように述べています。

 

▼ 職場は、労働者が療養に専念できるように配慮すべきであり、

少なくとも積極的に精神障害の増悪をもたらすような行為を行ってはならない。

 

▼ 職場は、労働者と接触しなければならない必要性があったとしても、

労働者の主治医を介して、あるいは、主治医から労働者との接触の手順につき 教示を受けた上で、

これに従って労働者と接触するなどの方策を講じるべきであり、 職場側から労働者へ直接接触を

図ることは差し控えるべき義務を負っていた。

 

▼ 有期労働者という関係にあり、契約期間が迫った労働者が、労働契約の更新の件 について

面接を求められた場合これを拒絶することは困難と考えられること等から すると、労働者が面談を

拒絶しなかったからといって、職場が義務違反の責めを 免れることはできない。

 

▼ 労働者に対して、不利益な条件を提示することについての合理的な説明を十分に 行うべき義務を負っていた。

 

▼ これらの義務違反により、職場は一定の賠償をすべきである。

 

以上が判決の内容になります。では、この判決の意義はどこにあるのでしょうか?

職場がメンタル不全にて何らかの形で休んでいる人に対して、現状認識のため 「状況説明」を求めて面談を強要したり、

有期労働者に対しては、契約の期間を 縮小したり、雇止めを匂わせる説明や行為を行ってはいけないということです。

よって、職場は、診断書にて休んでいる方の状況を把握している以上、 少なくとも、主治医を通じてもしくは主治医の

指示を受けた上での配慮ある 接触を義務づけています。特に有期労働者に対しては、不利益になる条件内容を 提示

する際には、合理的な説明を十分行うこととしている点は、メンタル不全を 発症した労働者が職場による理不尽な

接触強要や一方的な不利益な契約更新などに 対しても相当の配慮が必要になるということです。

実際どうしたらいいでしょうか?そんな声が聞こえてきそうです。

 

そこで大切なのは、休んでいる期間の連絡の取り方です。 どうしても職場内で連絡をしなければならないことも

あると思います。 その際には、直接の接触や電話などではなく書面でのやり取りをお勧めします。 また、状況が

知りたい場合などは、休んでいる者から職場へ連絡をもらえるように 促します。また、衛生委員会を通じて休んでいる方と

話がしやすい同僚や労組などの 協力を得て状況を確認することも可能です。

さらには、職場が契約しているカウン セラーによるカウンセリングを受けることでカウンセラーからの

情報を入手することも 可能です。(個人情報は、守るなかで)

このように職場側だけではできないことは、 外部の力を借りながら実施することも必要です。

せっかくよかれと思って実施したことが、休んでいる者からは、「プレッシャーになった」 とならないように配慮を

考えていかなければならいのです。

これも「安全配慮義務」の 大切な考え方であると言った判決ではないでしょうか。

 

産業カウンセラー 大槻 久美子

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